28歳 初めてシェフになる

28歳の時、初めてシェフと呼ばれました。

新卒から約7年間、洋菓子の工場で下積みをし、その後カフェ形態のお店に転職しました。

ある日、そのお店でシェフが退職。私と23歳の新卒のキッチンスタッフだけが残り、私が後任のシェフに任命されました。

飲食業界では人手不足がつねの課題。28歳でシェフになることは珍しいことではありませんでしたが、私にとっては今までの努力が報われる瞬間となりました。

しかし、社会人としての壁にぶつかりました。

最初はシフトの作成。これまでやったことがなかったが、
キッチンが2人しかいないため見よう見まねで作成。

そして、パソコン。
28歳にして初めてExcelに触れました。ゲームは得意だと意気込んでいましたが、パソコンのツールバーを雰囲気で理解し、なんとなく入力ができるようになりました。

次はシーズンメニューの開発。
メニューを考えることに悩みました。パティシエとして8年の経験があると、「どんなお菓子も作れるよね?」と期待されるもの。しかし、実際はレシピをただひたすら作るだけの経験が8年間。
お菓子作りが得意だという自信があったが、メニュー開発は別物であることに気づきました。

メニュー開発をこなし、次はメニュー印刷。

これがパティシエの仕事なのか?

いやいや、経験だ!と初めてWordに触れました。
フォントや色指定に戸惑いながらも、何とか乗り越えました。
「最終入稿ミスったら擦り直し10万かかるからね」
と言われ、

地獄としか言いようがありませんでした。

シーズンメニュー変更もクリアして、次はレシピの作成と原価計算
パソコンへの苦戦は続き、仕事終わりにエクセルの教科書を買って、
にらめっこしながら入力しました。

ここで自分の社会人としての能力の不足を感じました。
技術には自信があったが、社会生活に必要なスキルが不足していたことに気づきました。

Kindle Unlimitedに登録して、あらゆるビジネス書を読み漁りました。
名刺交換の仕方からメールのマナーまで、知らなかったことばかり。
社会に出る前に覚えておくべきだったと痛感しました。

それから3店舗ほど店を異動し、どれもシェフをやらせてもらいました。
30代を前に詰め込んだ読書の知識のおかげで、社会人としての自信を持つことができました。

数あるビジネス書の中で一番役に立ったのはマネジメントのスキルでした。
大きな概念ではありますが、この知識があるかないかで仕事や
スタッフに対する意識が大きく変わりました。
今はたくさんの書籍があるので、職人には必要ない!と思わず読んでみてほしいと思います。